アメリカ政治

寒い日が続く。

レーガン - いかにして「アメリカの偶像」となったか (中公新書)

　「レーガンは幼少期から陽気な外面と自省的な内面を抱えており，やがて政治家としても謎に満ちた『アメリカのスフィンクス』となる」（22頁）
暗殺未遂事件に際して「ケネディ大統領やキング牧師の暗殺に匹敵しうる事件を，レーガンはまるで映画の中の出来事のように演出したのである」（196頁）
「SDIはレーガン個人の実体験と疑似体験が『救済ファンタジー」によって混合したものであり，先の暗殺未遂事件と同様に現実の政治が大衆文化と融合したもの」（225頁）
「危機や悲劇に際して共感と希望を平易に語ることは，指導者の重要な資質である。凡庸な政治家は共感を持って希望を語れないし，凡庸な演説はしばしば平易ではない。」（264頁）
〜「過去の価値観を未来に投影し，明るい未来を語れたことが，保守政治家としてレーガンが成功した秘訣であった。彼は政治的タイムマシーンだったのである」（295頁）
〜「レーガンは一方でよそ者の疎外感と自省的な内面を，他方で朗らかな外面を併せ持っていた。彼はこの二面性の中で，『選別的な記憶』と他者への無関心によって自己の一貫性を守りながら，『救難』ファンタジーを活力としてきた。」（296頁）