出版

ぼくらの仮説が世界をつくる

ぼくらの仮説が世界をつくる

「そもそも,編集者って何のためにいるのでしょうか?類書の売り上げデータを見て,売り上げを予想するなら,人工知能で十分です。
 そうではなくて,『この文章を書いた人間は才能があるかどうか』を『世間には存在しないデータ』をもとに,自分の感性だけで決断することができる,それが編集者の特権なのです。」(25-26頁)

「作家とそうでない人の分水嶺は『頭の中にもうひとつ別の世界があるかどうか』です。作家がストーリーを考える,と言いますが,そばにいると『考える』というより『トリップして,観察して,ドキュメンタリーを撮ってきている』感じなのです。」(47頁)

「出版社が収益を上げるために取り組むべきことは,コンテンツの質の向上というよりも,流通の再定義でしょう。」 (64頁)

「編集者というのは,そのコンテンツをいかにして読者に届けるかを徹底して考え実行するプロデューサーであるべきです。」 (128頁)

「(いちばん強いのは・・・)慢心することなく,適切な不安と向上心を持って,地道に努力をし続けられる人。中途半端なプロ意識を持ってしまうのではなく,つねに『素人』のチャレンジ精神で取り組む人。そして,基本を疎かにせず,徹底できる人。」(138頁)

「実は,自分が『おもしろい』と思うことは,自分にとって新鮮なだけなのです。自分が面白いと思っても,世間には『よくわからない』と思われて終わりです。それよりも,自分では飽きていておもしろくないと思っていること。そういうことは,自分の中で何度も考えられ,熟成されたことなので,世間にとっては発見であることが多いのです。」 (198頁)